壊れた御守り
第16章 麻美と凌華
凌華が見た麻美は
俺が良く見た明るい麻美じゃなかった。
ベッドの上で、顔を曇らせた
覇気のない、女の子だった。
「彼女には話しかけられなかったの。なんでかわかんないけど、彼女を見たとき、自分はまだ幸せなほうなんだなって思った」
凌華は静かにそう言った。
凌華は、麻美を見ただけで感じとったんだ。
きっとそれほど、麻美から悲しげなオーラが出ていたんだろう。
俺に会う時には精いっぱい明るい麻美でいて
そうじゃない、病室にひとりの時は
きっとそんな作り笑いに疲れてたんだろうな。
俺は何も知らなかった。
だけど、凌華は初めて見ただけで
何かを感じとれたんだな。
「だけど彼女、私に話しかけてきたの」
「え?」
「“一緒に頑張ろうね”って…」