壊れた御守り
第17章 人を助ける手
麻美と2人で凌華の家を出ると
玄関先には健太に支えられた凌華がいて
少し殴られた痕が目立った俺の顔をじっと見つめていた。
「慶太くん…ほんとにごめんなさい」
「なんで長嶋が謝るんだよ。大丈夫だって!!」
俺はそう言ってニッと笑いながらカバンを掲げてみせた。
「慶太。1人であぶねぇことすんなよな。アホ」
健太がからかうようにそう言って笑う。
なんか、俺って幸せ者だよな。
道を踏み外していたはずの俺のこと
気にかけてくれるやつらがいる。
こうして笑いかけてくれるやつらがいるんだって
なんか、それだけで救われた気がするよ。
「とりあえず、みんなで帰ろうぜ」
「健太くんもくるの?」
「なんだよ凌華。俺が行っちゃ悪ぃかよ?」
「別に?そんなこと言ってないじゃん!!」
楽しそうにじゃれる2人を見て微笑むと
麻美がそっと俺の手を握った。
「帰ろう?慶ちゃん!」
「でも、お前病院…」
「少しだけ。お願い」
「…おぅ」
握り返してやる麻美の手は温かい。
なぁ、麻美。
お前は俺に言ってくれたよな。
“人を助けられる手”
だけどさ、麻美。
お前のほうがよっぽど人を救えてるよ。
ありがとな。麻美。
俺はこの日、隣で無邪気に笑う麻美に救われたんだ。