壊れた御守り
第19章 再出発
「そか…。なぁ、健太。それ、長嶋のこと好きじゃん」
「はぁ…!?なんでだよ」
俺の一言に、健太は戸惑って声をあげた。
やっぱり自覚してなかったんだな。健太のやつ。
俺にはわかった。あん時の俺と同じだもんな。
“麻美のために医者になる”
そう言ってた頃の俺と同じ。
「いいんじゃね?お前、大学で法学勉強しながら少しずつカメラやれば?お前ならどっちだって上手くやれるよ」
俺なんかが適当言ってんなよって思ったけど、本当にそう思ったんだ。
だけど、良かった。
俺の返事を聞いて、健太はいつものように明るく笑った。
「お前、長嶋に言ってやれよ。好きだって」
「俺、凌華のこと…好きなんかなぁ?」
「まぁ、ゆっくりでいいんじゃね?ゆっくりで」
ははっと笑った健太は大きく頷いた。
そして俺をじっと見つめて言った。
「お前は?」
「は?」
「お前は進路どーすんだよ」
進路…。
俺はそれまで漠然としていたそれと向き合うことになるなんて思ってなかった。