壊れた御守り
第19章 再出発
「実はさ、迷ってんだよな。進路」
健太が切り出したのは進路の話だった。
「専門か大学かってこと?」
「…まぁ。大体そんな感じ」
「なんだよ。焦れったいな。どした?」
「……法学部に行きたいって思ってたんだけど、写真、勉強してぇんだよな…」
法学部?
え?写真…!?
どっちも初めて聞いたぞ。
健太も色々考えてんだな。
「なんで写真と法学で迷ってんだよ」
「凌華の…ため……?」
「長嶋…?」
なんで凌華?
俺は振り返って健太を見た。
健太は眉間にしわを寄せて地面を睨んでた。
「あいつみてぇな女の子をだしちゃだめだと思うんだ。仮にそうなったとしても相手がのうのうと生きていくことのないような世の中にしたいんだよ」
健太の表情がいっそう苦しそうになる。
俺はそんな健太を上からじっと見下ろした。
「あいつ、笑わなくなってから…"どうやって笑えばいいのかわからなくなった"って泣くんだ」
「え…?」
「だから俺が、笑わせてやろうって…。凌華の笑った顔を思い出させてやりたくて…!!」
そっか。それで写真か…。
なんだ。凌華。
俺や麻美に会う前にもう、とっくに会ってんじゃん。
お前を愛してくれてるやつに。