テキストサイズ

壊れた御守り

第1章 麻美と俺

長い廊下を駆け抜ける。



同じ扉がいくつも並んだ建物に、今自分はいるんだと思うと、どこか変な感じがするのは毎度のことで…。


だって、俺には必要ない場所だから。


ガラ-


「慶ちゃん!!」


扉を開けると、すぐに声が飛んでくる。


俺は息を整えてからにっこり笑った。



「おぅ。麻美」



“おぅ。”なんてカッコつけた言い方したけど、


心の中ではもうそんな余裕はどこにもない。



だってさ、こいつ。


超かわいいんだもん。



長い茶髪にくりくりした大きな目、


笑顔がかわいい女の子。


こいつは浅野麻美。


俺の、好きな人-。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ