壊れた御守り
第4章 心配
「よーし!!短い間だったけど、今日で練習も最後だ!!おめぇら、頑張れよ!」
潤平、はしゃぎすぎ。
もろ体育会系じゃん。それ。
障害物競争の方では、女子らが高い声で騒いでる。
麻美も、あっちに混ざれば良かったのにさ…。
「慶ちゃん、あたしの次だね」
「潤平がそうしろってさ」
「あたし、遅いから…だから慶ちゃんがあたしの分も取り戻してね?」
「…はぁ?やだよ。めんどくさい」
「あたしだって頑張るもん!!」
麻美は頬を膨らませて日陰の方に涼みに行った。
はぁ…。
どーしよ。俺。
「照れ屋だなぁ、慶ちゃん?」
「え?……って、健太かよ」
「あれ?そんなに浅野に声似てた?」
「似てねぇし、あいつそんな汚い声じゃねぇし」
「ひでぇ」
健太はクラスが違うのに、最近よくうちのクラスに来る。
麻美の真似をしてくるあたりがウザい。
「なぁにまた悩んでんだよ」
「別に……。悩んでねぇよ」
健太はそういう俺をじっと見つめた。
「…心配なん?」
「は?」
「浅野。よくわかんねぇけど、去年倒れたじゃん」
あぁ。こいつもいたんだっけ?
だけど、誰も知らない。
俺が本当に不安な理由なんて誰も…。
もちろん、麻美自身だって…。