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壊れた御守り

第5章 麻美のバトン

体育祭当日。



俺らの学校、何故か体育祭は近所の人らも大勢来る。



文化祭でもないのになぁ。



とにかく人がいっぱいうじゃうじゃして気持ち悪かった俺は、



教室でじっとしてた。



机に突っ伏して、目を閉じる。



リレー、めんどくせぇなぁ…。



「慶ちゃん!」



「……」



「っ慶ちゃん!」



「ぅわっ!!なんだ…麻美かよ」



麻美に肩を揺すられて、俺はびっくりして起き上がった。



あぁ。麻美がきたってことはきっと…。


「リレー、もうすぐだね!!」



「あぁ。そだな」



「今は障害物競争かなぁ?さとちゃんたち、頑張ってたよ」


“さとちゃん”?



あぁ。西山理美か…。



あいつ、結構麻美に絡むからな。



「頑張ろう!!リレー!」



麻美がそう言った途端、冷たいものが首にかかった。



「冷てぇっ!!」



見ると、それは麻美の手で、



蒸し暑いっていうのに、何故か触れられた部分は涼しかった。



「えへへ。びっくりした?今日暑いから冷やしてあげたの」


そう言って笑った麻美を見上げた。



日差しが眩しくて、ついつい目を細めてしまう。



麻美の笑顔も眩しすぎて、



俺はどうして良いかわかんなかったんだ。



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