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壊れた御守り

第1章 麻美と俺

ベッドの上で俺を真っ直ぐ見つめる麻美。



その迷いのない目にいつも戸惑う。



全部、考えてること全部を見透かされてるみたいだから。


「慶ちゃん、学校はどう?」


「……まぁまぁ。別に変わり映えしない1日でした」


「なにそれ~?楽しまなきゃ損だよ。慶ちゃん」



あぁ。なんて言えばいいんだろう。


誰よりも学校に行きたいと願うやつの前で、楽しいなんて思えない。


行きたくても行けないやつの前で、


楽しくないなんていってガッカリさせられない。


「…慶ちゃん、大丈夫だから」


「え…?」



「あたし、平気だから。だから普通にして?」


麻美は俺が言わなくたって、すぐに気付くんだ。


俺の考えてることが。



それはもしかしたら、


もうすぐで死んでしまうということを
悟ってしまったからかもしれない。



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