壊れた御守り
第7章 麻美への想い
「何を忘れろって?」
戸惑いを必死に隠して、俺はそう聞いた。
「お前さ、あれは約束じゃねぇ」
「は?」
「確かに俺、浅野から離れろって言ったけど、お前、わかったとも頷くでもなかったじゃん」
カラオケで、健太につきつけられた約束。
“麻美から離れること”
俺が、麻美を好きじゃないなら。
「だから、あんなん成立してねぇ」
「なんだよ。だから何だっていうんだよ」
「素直になれ。慶太」
は?
“素直に”って?
健太の言ってる意味がわかんねぇ。
「なんだよ。それ」
「だから、ちゃんと向き合え。お前の…浅野に対する気持ちと…」
え?
麻美への気持ち…?