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官能的大恋愛

第7章 エッチのプロはソフトキスがお好き

シルバーのワンボックスカーがマイカー。

運転する時は、いっちょまいにオシャレなグラサンをかけるNag。

「中華、洋食、和食、どんなのが食べたい?」

「私は、どんなのでも食べれますよ」

「じゃあ中華で」

と、車を走らせる。

「普段は黒渕メガネで、運転する時はグラサン?」

「黒渕は変装用のだてメガネだよ。サングラスは只の日除けさ…仕事以外の俺にカッコよさは必要ない…」

ってか、それは元がカッコいいから、余裕でそんな事が言えるんだよ。

「うぅわっ…、今のイヤミ~ッ」

「マジマジ(笑)」

「nagちゃんは、普段からそんな感じ?」

「はい。仕事中も家族といる時も、日常的に堕落しています。小説を書いて打ち込んでる時だけしか、頑張れない。…いや、頑張らない」

当たり前やん。

そんな、100円ショップで仕事してる自分が、本当にやりたい事を好んでやってる訳じゃないんだから。

家族と居ても、結婚だとか孫だとかリフォームだとか、そんな現実問題ばっか突き付けてきて。

何度も言わせてもらうけど、そんな話はどうでもいいし、全然私にとったら面白くないの!

「メリハリ、ちゃんと出来てんじゃん…へぇ~っ…熱心に打ち込めるモノがあるのは生きてて大切な事だよ…俺、益々応援しちゃう…」

「やだなぁ…何かそんな良いふうに言われるの慣れてないから、照れる」

「君は、頑張り屋さんの努力家だね?」

「えへへ、はい!」

やたら私を持ち上げるような物の言い方。

そういう言葉を並べられると、正直嘘臭く感じちゃう。

私の正体は、疑り深いひねくれ者だから。

「今から行く中華料理屋は、撮影部隊との行き付けの店なんだよ。中国人がやってるからなのか、どれ食べても美味しいんだよね…」

この人もそうなのかなぁ。

最初だけ優しくして、慣れたら私にアレヤコレヤと要求ばかりして、私の自由を奪おうとするのかなぁ。

「店員とも仲良しなんだ…みんな陽気でノリが軽いんだ…って?…どうしたの?」

「へっ?」

上の空がバレたか。

独りよがりの好きな私は、人の話を最後まで聞けないで、自分の世界に入り込むようになっていた。

それも、いつの間にか。



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