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永久の国のアリス

第2章 狂った世界と狂った住人と。

「じゃあ、こことこことそこ...押さえられる?」
「届かないわ!」
「でも押さえないと音は出ない」
「...クラリネットはこわれてのいなかったのね!!」
「そうさ、オーパッキャマラド。一緒に一歩ずつ前進してゆこうって意味だよ。Missアリス、ゆっくり道を覚えながら行こうな」
「うん、うん!!」

 Missアリスにどれくらい伝わったのかはわからないけれど考える力は大切だ。
 彼女の口は饒舌で幼さを感じさせないけれど常識がまるでない。
 僕の常識がどこまで通用するかはわからないけれど僕は出来る限り僕のままでありたい。

「クククククッ驚いたよ、Mr.アリス君ほどの全うなニンゲンは久しい」
「君は充分に気が狂っていると僕は思うよ」
「クククククックククククッ!クーックククククククッ!!」
「...笑いながら消えるとかやめろよな」
「猫は気まぐれなのさー。帽子屋も3月ウサギもヤマネも狂っているからね。クククククッ」
「わたしはMr.アリスが居ればいいわ」
「それはそれは光栄な至り」

 消えたチェシャ猫の行方は気になるけれどできるだけ狂った住人とは絡みたくはない。
 チェシャ猫のゆう狂っているとゆう帽子屋、3月ウサギ、ヤマネとは一体どのようなものか。

 僕は再び身体と頭を抱えながら歩いて未知なる道を進む。



* * *



「ねぇ、Mr.アリス。空はどうして青いか、赤いか、黒いか知ってる?」
「光の屈折によるものだよ」
「違うわ!空はわたしが泣いたから、空はわたしの頬を染めたから、空はわたしの闇を映したからよ」
「...」
「空っぽだったわたしに女王が世界を教えてくれた」
「...そっか」

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