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永久の国のアリス

第2章 狂った世界と狂った住人と。

「何だ?」
「Mr.アリスはご自身の本当のお名前を覚えていますか?」
「っ!!帽子屋、お前...」
「私は覚えています。と言ってもここに居ては忘れてしまうので日記をつけています」
「僕はアリス...誰だ...僕はアリス、アリス...アリスガワマサムネっ!アリスガワマサムネだ」
「覚えている範囲でかまいません、あなた今日からとゆうより常に日記なるメモを忘れないうちにお書きなさい」
「...何か書くもの......手帳......?...私立神崎高等学校...学生証!!」
「わたしがアリスを見ていましょう、その間に貴方は書くことをおすすめします」
「...助かる」

 縫い合わせ終わった彼女を帽子屋に渡し、僕は筆を走らせる。
 ネズミと3月ウサギに「帽子屋とMr.アリスは狂ってる、わけわからんじゃん。その角ばったり丸い絵とか意味わけわからんじゃん。」と僕たちの会話が理解できなかったり、文字が読めないようだ。

 僕は学生証の備え付けのシャーペンを置き、何度も最後のページを見る。
 どうして僕は僕のことを忘れてしまっていたんだろう。



学舎 私立神崎高等学校
氏名 有栖川政宗(アリスガワマサムネ)
年齢 満17歳
学年 第2学年
学級 特進Aクラス
生年月日 1996年05月05日



 上部ページにあるカレンダーによると06月18日で×記しが途切れているので僕、有栖川政宗は06月19日に交通事故により死去したのだ。
 否や違う、僕はクラスメートによく似た女の子に殺されたのだ。

 憎い気持ちも忘れずに記し、あの女の言葉からバグと死神追われたこと白ウサギを追いMissアリスと出会ったこと。
 Missアリスを助けて同罪になったこと、今のことを懸命に思い出しながら学生証基生徒手帳にそれを書き留める。
 これで僕は忘れないし、大丈夫なず...僕が幽霊ならあの女を呪ってやることだってできるはずだ。
 帽子屋には感謝しなければならないし、彼のこともこの国のことも聞きたい。

「帽子屋、さん...本当に心から感謝します」
「私は君のような人を待っていた、気が狂いそうなほどに」
「...わかります、わかります!一緒に頑張りましょう!」
「ありがとう」

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