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永久の国のアリス

第3章 女王さまに会いに行こう!

 公爵婦人は僕がアリスだと何か問題があるのかニガムシを潰したような顔をする。
 彼女に興味はないが、この世界の一人一人の言動は気にしなければならない。

「遅いじゃないか!遅いじゃないか!」
「...白ウサギ」
「舞踏会が始まるっら始まーる!」
「その前に薔薇を摘ませてくれ」

 城内に入るとトランプの攻撃は止んだので再びMissアリスをおろし、手を繋ぐ。
 懺悔と祝福の舞踏会、上等じゃないか。
 手土産に赤い薔薇の葉、Missアリスには刺を取り除いた桃色の薔薇を。
 さぁ、踊ろう。



* * *



「アリスを連れてまいりました、ました!」
「...下がりなさい、白ウサギ」
「仰せのままま♪」

 女王は仮面で顔が隠れていたけれど、声を聞いて僕はわかったことがある。
 Missアリスだって女王だってそう、彼女たちは...くそっ。
 また記憶が薄れて来ている、手帳を開きたいが女王の前では開くことができない。

「女王さま、この前はごめんなさい...これあげる」
「反省しているなら良いのですよアリス。このピンクの薔薇があなたの気持ちを教えてくれたわ」
「女王さま...良かった」
「そしてようこそ永久の国へ、二番目アリス」

 女王の言葉に愛しさ、切なさ、憎しみ、悲しみが込み上げてそして喜びが渦巻く。
 何なんだ、僕の意思に反するような感情は...まるで言霊のように力を持ち真実を螺曲げるほどの絶対的な従わずにはいられないそんな声だ。
 女王が絶対ってこういう意味か?

「* * *...会いたかった、狂おしいほどに」

 もう、何もかもがからなくなってただ温かい涙が頬を伝った。

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