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貧乳ヒメと書かない作家

第17章 ナイト

松田は千春の腕を掴んだまま、近くの茂みに引っ張っていき、身をかがめた。

松田さん結局、なんだかんだいって、溜まってたのね…。

そう思いながらも流されて千春も身を隠した。

ここからは、2人が話す声はよく聞こえた。

「…桐生先生、こんな所に急に呼び出して…一体なんのつもりですか」

渡来野はそういっていた。その話し方はどこか人をバカにするような口調だった。千春が始めて会った時の柔らかい口調のそれとは全くかけ離れている。


「わかってる癖しやがって!
いいか、共同制作は元々お前の事務所からの依頼なんだぞ?
なんでその担当者が俺を拒むんだ?」

負けじと桐生も声を張った。

「…そういうことにしてあげましょう。仮にわたくしが拒んでいた、とします。


あなたはそれに従えばそれでいい。


違いますか?」


桐生は面食らった表情でたじろいだ。

確かにそうだ。だから実際、今まで書く気ないって言ってたわけで。

あれ、でもそもそもなんで急にやる気になったんだろう。

千春は考えを巡らせた。


「それは…っ」



渡来野は冷ややかな目で桐生を見ていた。

桐生が困った表情になり、松田さんはそれを忘れまいと(?)まばたきもせずに見つめていた。


「…千春と仲直りしたかったんだ」



え?



なにそれ。



あたし?


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