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貧乳ヒメと書かない作家

第17章 ナイト

沈黙が流れた。

松田がちらっと千春をみた。何か言いたそうだが、言葉が見つからず、また正面に視線を戻した。

千春があまりに驚いた表情だったのだ。

「俺は…千春に迷惑かけてばっかりで、

しまいには、誤解だったけど
結果的に傷つける結果になった。

連絡してもつながんねーし、
態度で示すしかねぇと思って。

俺が小説かけば千春は戻ってくると思ったから…」


桐生先生…。気にしてたんだ。

「内容が具体的でない上に、動機も曖昧ですね。ここまでする理由が全く伝わって来ませんよ。

それでも小説家先生なんでしょう?」

渡来野が冷静に批判した。口元がイヤらしくつりあがっていた。


桐生の拳にグッと力が入った。


「俺は………。」

「聞こえませんよ!そのような蚊の鳴くような声では!」

「…松田さん、このままみてて大丈夫?」


松田もそろそろ危ないぞと思いながら見ていたが、正直なところ、止められる自信がなかった。

「もう少し…待ちましょう。」


桐生は出来るだけ多くの空気を吸い込んだ。

爪が手のひらに食い込むくらいに握りしめた。



「俺はっ!





千春を愛してんだぁ!」


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