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貧乳ヒメと書かない作家

第23章 いどう

結局景色なんてろくに楽しむことなく空中移動が終わった。

「おおわくだに…初めてきたけど、煙がすごいね」

やっとウキウキ気分から落ち着いた千春が周りを見渡した。

「いゃ、煙というか臭いの方が…硫黄の匂いつーの?」

桐生が鼻を曲げながらしかめっ面をした。


「硫黄が酸化した匂いですよ。硫黄自体は匂いないんですよ」
立木が補足する。



「詳しいんですね」

松田が感心しながらいうと照れながら顔をふせがちに
「友達に詳しい人がいたんで…」と言った。

「なーあれが黒卵だろー?買いに行こうぜ~」


軽食しか食べてない桐生は硫黄の臭いに文句をつけてたことなどなかったかのように平地にある卵屋へと足取りを速めた。

「ぁっちょっと待ってください!」

立木が桐生を制した。

「食べるなら上がいいですよ」

「上?」

立木が指差したのは山の頂に微かにみえる小屋。
「まじかよ~」

普段家にこもりがちな人には厳しいかもね…。





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