貧乳ヒメと書かない作家
第30章 初版本にみる家族の絆
桐生は棚の上の方に手を伸ばした。
千春では手の届かない、最上段だつた。
「あったあった。
これだろ?」
埃まみれな一冊の本。
「なんでそんな上にやってんのよ…」
「身内に見られるとはずいだろ。
だから自分が書いた小説とかは全部上。
一応出版順に並んでる」
「本当だ。あ、じゃあこれは初出版の
小説なんだ?」
この本は一番右端にあったのだ。
千春が読んだことのない本も置かれて
いた。
「こんな本よく読んだな。
こんなマイナーな小説」
「そんなことないです!」
千春は熱っぽく言った。