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貧乳ヒメと書かない作家

第30章 初版本にみる家族の絆

「あれ、あたし泣いてる…」


ーなんだか知らないけど、昔辛い思いをしてたんだな。

桐生は千春の心に寄り添う気持ちで頭を撫でた。

千春に安らげるような家族…を。


それは。

「千春。
俺は自分勝手でわがままかもしんないけど、
これだけは言える。

俺は、一人じゃだめみたいだ。

色々文句いえるのも、誰かがいるからできるわけで…。

千春」


桐生は一呼吸いれた。

それは小説の要となることばを紡ぎ出すときと同じ心境だった。


「千春。俺が一生お前のそばにいてやらぁ!」


照れ隠しの強がり口調になってしまった。
俺ほんとに小説家かよ!現実との差ってやつか。
こんなんじゃつたわ…

腕の中で千春がクスクス笑った。

「何言ってるの。空気にのまれちゃって!

でも、ありがと」

千春が泣き笑いでかおをあげた。

あれ


先生、結構真顔だ。


え?


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