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貧乳ヒメと書かない作家

第1章 初めましてっ!

二駅離れた場所にそこはあった。

「ホテル…『白坂』。ここか」

平井から聞いた話では、桐生先生は自宅では執筆しないらしい。それはとくに珍しいことではないようだった。
まぁ、作家にも色々いるしね…。

受付をすませ部屋の前につく。

思えば本物の作家に会うのはこれが初めてだ。
失礼がないようにしなくては。

千春は深呼吸をして、襟を正す。
大丈夫。これは面接とは違うのだから。


千春は震える指でインターホンを押しーー


…がちゃっ

「きゃ!!」



いざという時にドアがあき、誰か出てきた。

千春の心臓は爆発寸前だった。

しかし、息つく間もなく、千春はその人物を見て、すぐにたじろいだ。


その男性の眼鏡の奥の目の下には深いクマ、肌も青白く血が通っていないかのよう。


千春はなんとか呼吸を整えつつ、やっと声を絞りだした。

「あの…桐生先生?」

千春がそうきくとその男性は表情をかえずに

「あぁ、僕の代わりの編集担当かい?僕はもうだめだよ。なんていうか…」

呆然とする千春を残して、言い終わらずにフラフラとさっていく。

どうやらこの人ではなさそうだ。それにしても、桐生先生って一体…?

ドアは半開きになっている。千春はそっと覗きこんだ。

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