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貧乳ヒメと書かない作家

第11章 追求する本能

昼間とは違う部屋に通された。

―ここは事務所 兼 先生の自宅になってるらしい。

そこは漫画家先生の自室というだけあって、アニメキャラのぬいぐるみやフィギュア、本棚には漫画がきれいに並べなれていた。
アニメ好きの松田は心躍った。

そこにあったのはそれだけでなく、


如月の香りのようなふんわりとした空気も、クイーンサイズのベッドも、置かれていた。


「ここに座って下さいね」

「ぁっはい、失礼します」

慣れない女性の部屋にどぎまぎしながら座布団の上にかしこまって正座をした。

如月は松田の斜め向かいに座る。


「それであの相談なんですけど」

神妙な面持ちの如月。
松田はその言葉で気持ちを切り替えた。


「あの、実は千春ちゃんの事なんですけど」


「はい」



「…その


桐生君と…

どういう関係なのかなって…」



「え、ええっ?」


「あ、あの誤解しないで下さいね、ただその、心配で!
千春ちゃんいい子そうだけどまだ新人でしょ?

松田さんの補佐が務まるのかなぁって

私不安で…」

確かに如月が心配する理由は分かる。編集者泣かせのあの性格ではすんなりと勤まる相手ではない。ましてや最初の担当だ。
経験値の多い先輩たちがどれだけ手を焼いてたかは聞かされていた。


それを気にしていたのか。

松田は緊張混じりに微笑んだ。

「如月先生、優しいんですね。桐生先生にも見習って欲しいですよ」

「そんなこと…」

と照れた様子で俯いた。

「大丈夫ですよ。僕だってまだまだ先生には手を焼いてますけど、しばらく向き合って見て傾向が分かってきましたし、それに桐生先生と相性いいみたいですから」

「そうなの?」

「はい。まぁ、二人とも言い合いながらですけど、桐生先生からしたら、正直に言いたいこと言えてちょうどいいのかもしれませんし」

松田はそういったが、如月はまだ浮かない表情を浮かべていた。

そんな儚げな表情でも、ななめ横から見る如月はうっとりするほどだった。

あまり意識しないようにしよう、今日は真面目な用事なのだから、松田はそう自分に言い聞かせていた。

すると急に松田に体をグイッと寄せて来た。

「わっ!」

松田の腕に胸が当たる。


外で待っていたせいで如月は少し汗ばんでいた。



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