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貧乳ヒメと書かない作家

第13章 新人指導

千春はそれを、聞いて胸を撫で下ろした。

ばれてたのかと思ったじゃない…!

「あ、いえ、すみません」

特に咎める様子もなく、松田が続けた。

「なんでこんな話をしたのかっていうのは、
これは僕の経験の中でのことなんだけど」

そう言うと松田は懐からある小説を取り出した。

「これ、僕が初めて担当した作家さんが書いた小説なんだ」

それは小説好きな千春も知っている赤羽義太郎のミステリー小説であった。
赤羽義太郎は高齢ながら、年相応の趣きある文章を書き、生前はいくつも賞を受賞していた。

「風戸さんはこの人の作品を読んだ事があるみたいだね」

「はい、ありますよ」

「この人も、桐生先生程かあるいはそれ以上か、編集者泣かせの先生だったんだ」

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