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素直になろうよ

第12章 予想外です

「じゃぁ、課長。また・・・」


後ろ髪を引かれる思いで、この楽しい時間を終わりにしようとした時。

内海が顔をあげて口を真一文字に結んで、俺の手首を掴んだ。



「課長?」

問いかけても返事はない。
どれくらいその体制でいたのか、ようやく内海が口を開いた。


「・・せみ、や」

口の中にこもった声が聞き取りにくい。


「加瀬宮」

「はい」


少し潤んだ瞳がしっかりと俺を映している。

揺らめいているように見えたのは錯覚だろうか。






泣いているのかと、思った。




「かせ、み・・や」




泣いているのだと、思った。



内海が何を思って涙を堪えているのか、必死に考えた。

何度も名前を呼ぶ、彼の気持ちを想像しようとした。



逸らされない真っ直ぐな視線が俺を貫いている。










「いや、だ」






確かにそう聞こえた。



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