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素直になろうよ

第14章 つなぐ気持ち

あれやこれやと世話を焼く母親と姉にも心から感謝した。

涙目の姉は、相変わらずうるさく騒いでいたが、何度も「秋が無事でほんと良かった」と連呼している。

母親も、「まったく、正月早々びっくりさせて寿命が縮まったよ。でも、たいしたことなくて良かった」と、声を潤ませて俺の手を握った。



「心配かけてごめん」

かすれた声で一言いうと、母親も姉も泣き出した。
父親は何も喋らなかったが、俺の手をぎゅっと握りしめて笑った。






「あ、そうだ。秋と一緒にいらした内海さんて方も、すごく心配してくれてたわよ。私達が来るまでずっとそばに着いててくれたみたいで。あとでちゃんとお礼言わないと」

母親の口から内海の名前がでて、相当驚いた。



「課長無事だったんだ」

「ええ、どこも怪我している様子はなかったわよ」



良かった。

ただそれだけを強く思った。
課長が無事だったらいいや。


ずっとそばにいてくれた・・
また心配かけちゃったかな。


内海のことを考えると、心が暖かくなった。
痛みは確かにそこにあったけど、たいしたことじゃないように思える。

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