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素直になろうよ

第14章 つなぐ気持ち

「生きてて、良かった」

ようやく課長が口を開いた。


「あ、はい。ただの骨折だけで済んだみたいだし、不幸中の幸いってやつですね」

違う、そんなことどうでもいい。
本当に聞きたいことは言葉として出てきてくれない。




「死んだかと、思ったんだ」

「あ、俺も思いました。俺死んだなって」

できれば、ここ笑うとこ。



「お前がいなくなるかと思ったんだ」

「おかげさまで、俺結構丈夫なんですよ。あんなスクーター、本当なら10m級のジャンプでかわせたんですけどね」


ここも笑うとこ。



「本当に、怖かった」

一つも笑ってくれないどころか、俯いて顔が見えなくなってしまった。

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