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素直になろうよ

第4章 やっぱり君が好き

雲の上の方から。


声が聴こえる。




実際それは声なんてはっきりしたものじゃなくて、何かが唸っているような。
そんな音でしかなかったのだけれど。




「加瀬宮」


俺の名前。



「加瀬宮」



恋人に甘い睦言を囁くような、優しい音が耳から入って、頭の中に何度も響いた。



「加瀬宮」





はっきりと名前を呼ばれていると気がつき、真っ暗だったまぶたの裏側の世界を無理やりこじ開けた。

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