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素直になろうよ

第8章 課長の独白

なのに。



加瀬宮に好きな人がいると分かった時から、心に一点のシミが落ちた。



あいつに触れるものすべてに苛立ちを感じ、彼と話すもの全てを排除したい。


ドス黒いこの感情の塊は、一点のシミから徐々に広がって、時には心を覆ってしまうほどになる。



自己中心的な勝手で醜い感情。



振り払っても、振り払っても、勝手に湧き出るこの恐ろしいもう一人の自分を、どうにかしなくては。





焦りと、それ以上の悲しみとが、俺を染めていた。

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