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素直になろうよ

第9章 神にも祈ろう

一緒にいると楽しくて、嬉しくて、ただ幸せで。

その存在を感じるだけで、癒される。


自分の想いが報われようが、受け入れられなかろうが、ただ、そこにあるのは「すき」という気持ちだけで。





「俺。課長にちゃんと謝ってなかったんで、この場を借ります」

「ん?」

「思い切り八つ当たりしてて、すいませんでした」


加瀬宮は突然歩みを止めて、体を大きく折り曲げた。


「や、なに?加瀬宮、急に・・」


慌てて、加瀬宮の体を真っ直ぐに直し、何が起こったのか、彼の顔を覗き込んだ。


「去年、資料室からこっちずっと課長に態度悪かったですよね」

彼の言いたいことがすぐさま理解できた。

「いや、あれは俺も悪かった。悪ふざけが過ぎた。ごめんな」

「や、俺がやっぱり大人気なかったです。自己嫌悪で死にそうでした」


首をすくめて、苦しそうに笑う加瀬宮を、思わず抱きしめそうになった。


拳をぐっと握り込んで、欲望を制した自分の理性に乾杯だ。

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