
好きだって?
第4章 再び冷戦
「ああ、そういうことか、
これ、この前僕を置いて走って行ったときに
落としてったの」
「あ…」
そいつが微笑んでポケットから
俺に差し出したのは、どうやら名刺入れ。
「…これ、晋の名刺入れだよな…」
「…ふふっ、これに会社名書いてあるから…
すぐ分かった
塚田晋君
君、相変わらず少しドジな所あるよね」
「…か、返せっ」
「おっと、ダメだよ拾ってあげたのに
お礼の一つも言えないなんて」
男は晋が名刺入れをひったくろうとすると、
それを躱し、またにこやかに笑った。
「貴様…」
「まあ、君には感謝してるから返してあげるよ
君のおかげで聖也さんに会えたからね
…はい、どうぞ」
「くそッ」
男を睨みつけ、名刺入れをひったくる。
「…乱暴だなぁ…」
「………」
「どうしたの、聖也さん?」
「…お前さ…」
俺は疑問に思い、口を開いた。
