びりっかすの神さま
第1章 透き通った小さな男
お母さんは、両手に挟んだ湯飲みを睨みつけていた。
「確かにお父さんは、お父さんのやり方で頑張ったんだと思う。でも、お母さんの気持ちを言っとくわ。もし頑張るって言うことが、お父さんみたいに生きるってことだったら、……人に勝つことが、頑張るって事だったら、始、お母さんはあなたに頑張って欲しくなんかないのよ。」
お葬式の間泣かなかったお母さんの目から、涙が落ちた。
見てはいけないものを見た気して、始は目を落とした。
誰もいない砂漠を、一生懸命に、一人で走っているお父さんの姿が浮かんだ。お父さんは、突然呑めって倒れた。生まれて初めてお父さんのことを、可哀想だと思った。
「確かにお父さんは、お父さんのやり方で頑張ったんだと思う。でも、お母さんの気持ちを言っとくわ。もし頑張るって言うことが、お父さんみたいに生きるってことだったら、……人に勝つことが、頑張るって事だったら、始、お母さんはあなたに頑張って欲しくなんかないのよ。」
お葬式の間泣かなかったお母さんの目から、涙が落ちた。
見てはいけないものを見た気して、始は目を落とした。
誰もいない砂漠を、一生懸命に、一人で走っているお父さんの姿が浮かんだ。お父さんは、突然呑めって倒れた。生まれて初めてお父さんのことを、可哀想だと思った。