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びりっかすの神さま

第1章 透き通った小さな男

ただ横切ったのではない。始と目があった面長で、油っ気のないボサボサ髪の、気の弱そうな顔つきの男は、始とあわせたままの目をしばたかせながら、50センチくらいをハタハタと飛んで、急にギクッとした。そのとたん、ふっと消えてしまった。

透き通ってはいたが、はっきり見えた。窓ガラス越しに外を見ていると自分の顔がガラスに映り、外の景色と重なって見えることがある。そんな風に見えた。
 
今のはなんだ。

そう思ったとき、皆の笑い声で我に返った。
顔が真っ赤になるのを感じた。もう言葉は続かなかった。
先生の声が聞こえた。

「ま、挨拶はいいだろう。席を決めよう」

まだ笑いをくすぶらせながら、皆は一斉に振り向いた。そこには、一つだけあいた机があった。一番廊下側の席だった。

「そんなところじゃないの。」

誰かの小声に続いて、真ん中あたりに座っていた男の子が叫んだ。

「みゆき、感激!!」

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