
タイトルはまだ未定
第4章 過去
「つまんねー」
「あら、和馬くん、勉強はしておいて損はないわよ?私、勉強しておけばよかったって後悔しているもの。」
ゆりかさんは、唯一俺の事を名前でよぶ。
ぼっちゃんとか嫌なんだって俺が言うと「じゃあ、私は和馬くんって呼ぶわ」と言ってそれ以来ずっと和馬くん。
ほかの人とは何かが違っていた。
優しいんだけどどこか冷たい。
明るいんだけどどこか暗い。
言いたいことは俺でも親父でもはっきりいう。
そして何より、謎が多い。
俺は、本当のゆりかさんが知りたかった。
中学生ながらにこの人を幸せにしてやりたいって思った。
「なぁ、ゆりかさん。」
「なぁに?」
「俺が幸せにしてやるよ」
「クスッ。ありがとう」
「本気だからな、俺。」
「はいはい」
「だから、絶対俺から離れるなよ。」
「…それはどうかしらね。」
「どういうことだよ?」
「さぁ?…ふふふ」
とことん謎な人。
でも俺はこの後、ゆりかさんの本性を知る。
