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永遠(トワ)に愛す

第5章 …命を狙う者・守る者…

 
 
 
冷たい空気の感触に‥まだもうろうとする意識の中、りんは目を覚ました‥‥
 
 
 
 ここは‥‥
 
 
 
周りは濃い霧に包まれていて‥まるで冬のような寒さに、りんは震えながら立ち上がった。
そして‥思い出したように一瞬で顔色を変えた… 
 
 
 そうだ…
 朝‥トイレに行きたく てこっそり部屋を抜け 出した時…
 廊下で麗華さんに会っ て…
 そして‥‥
 
 
 
『私‥自分のお屋敷に戻 ることにしましたの』 
『えっ…』
 
『響夜とお幸せにね
 ――と‥でも言うと思 った?』
 
 
 
 最後に見たのは…
 麗華さんの‥憎しみで 歪んだ顔と冷たい目… 
 
「もう目が覚めたのね」 
 
 っ!?
 
 
 
霧の中から突然現れた麗華に、りんは少し怯えた様子でその姿を見つめた…
 
 
 
「麗華さん…
 ここはどこですか…? 」
 
「私達ヴァンパイアが住 む空間よ
 だけどここは
 私がつくりだした特別 の場所だから
 誰もここの存在を知ら ないし‥助けになんか 来ないわよ」
 
 
 
憎しみに満ちた目で睨みつけ、ジリジリとりんを追いつめていった…
 
 
 
「なっ‥なんでこんなこ とっ…」
 
「決まってるでしょ?
 あなたを心ゆくまで痛 ぶって殺すためよ
 ここなら誰にも邪魔さ れないっっ!!」
 
 
 
目にも止まらぬ速さで、麗華の手は首を捕らえ、人並み外れた力でりんを持ち上げた―――
 
 
 
「やめ…てっ…くっ‥‥ 」
 ダメっ
 息ができないっ…
 
 
「フフ
 まずは‥そうねぇ~
 死なない程度に血を抜 こうかしら」
 
 
 っっ!?!?
 
 
 
気がつくと‥りんの首筋に麗華の顔が埋められ、鋭い激痛が体を突き抜けた。
 
 
 
「うっ‥‥いっっ‥‥」 
 なに‥これっ…
 響夜の時は痛みを感じ なかったのにっっ‥‥ 
 
 
痛みで顔を歪ませるりんを楽しんでいるかのように、麗華はゴクリと‥喉を鳴らして血を飲んだ。 
 
徐々に薄れていく意識… 
 
 
 
 

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