無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

ふわりと、プワゾンの香水の香りがした。
同時にびしゃりと、胸に液体がかかる感覚。
突然手が自由になった。というか、覆い被さっていた男が消えた。
胸に手をやると、手にはべったりと血が付いていた。
震えながら周りを見渡して息をのんだ。
さっきの男たち全員が首から大量の血を流して、折り重なって倒れていた。
振り向くと、背後には血が滴り落ちるナイフを握った少年がいた。
茶色っぽい髪に、茶色の瞳。
暗闇の中の顔立ちはよくわからないが、暗闇の中で、猫みたいに瞳が光っていた。背は私より少し高いくらいだろうか。非常に華奢な体つきをしていて、見れば見るほど猫っぽかった。いや、この少年の外見はどうでもいい!!とりあえずこの事態を把握しろ、
働け脳味噌!!
少年が私に向かって話しかけようと口を開いたその時、

「きゃあぁあああぁーっ!!人殺し!!」

私は既に悲鳴をあげていた。
少年は軽く舌打ちをして私の背後に素早く回り、私の首筋に手を打ち付けた。

そのまま私の記憶は途切れた。

意識を手放す刹那に、少年が付けていたらしいプワゾンの香りを嗅いで…