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君と出会って世界が変わったー。

第6章 本当の友達

あの日からしばらくたった。


深郗も

愛歌も

生も


相変わらずで。


ただ一人、裕罹は愛歌と深郗の関係についてずっと考えていた。


「ゆ〜うりちゃん!」

生が元気良く話しかけてきた。



「どしたの?元気ないけど。」

生は首を傾げる。

「ちょっと考え事を…」

と、もう少し言葉を続けようとした時。

「水速くん、やめなよ〜」

「そうだよ、水速くんが御巫さんと話しちゃダメだって!」

「そうそう!御巫さんなんかと話してたら、水速くんの人気下がるしぃ〜」

「そんな子と話してないで、私たちと話そうよー!!」


ケラケラと笑う女子たちの声がする。

裕罹はただ俯いているしかなかった。


生と一緒にいすぎて忘れかけていた。

教室でのじぶんの立ち位置に。





水速くんだってそう思ってるんだろうな…


今まで少しでもむかしみたいに笑えていた自分に嫌気がさした。


そんな自分がバカみたいに思えてしまった。



こんな思いしていいはずがない。

少し前までの会話が嘘だったように裕罹は現実に戻されていた。


しかし…


ガシッ

「お前、今何つった?」

「え…あの…その…」

「さっきまで大口叩いてたくせに、急に可愛い子気取りかよ!ムカつくんだよ!!そう言うの!」


と、怒鳴り声を上げたのは生だった。


生のこんな姿を見るのは誰もがはじめてで…

教室は静かになっていた。


「裕罹ちゃんと話したら俺の人気が落ちる?は?そんなもんどうだっていいし、俺にいらない。お前らの勝手な考えて何でもかんでも決めつけんなよ!!裕罹ちゃんの気持ちも考えろ!!!」


そう言うと生は裕罹の腕を強く掴んだ。

「行くよ、裕罹ちゃん。」


裕罹の返答を聞かずに、生は教室を出て行った。

生はただただ、強く裕罹の細い腕を掴んでいた。


そんな生の行動に、裕罹は少しだけ安心感を覚えていた。







手を惹かれて、ついて行く裕罹…。

生が向かった先は、屋上だった。

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