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優しくしないで

第10章 友情の取りこぼし



「俺は…太一の…友人失格だ…」



剣は、弱々しく私の胸で泣いた…


剣の涙が…胸に
ポタリ…ポタリと…落ちる



「太一…苦しかっただろうな………

俺が…もっと早く、太一に会いに行けば…」






『………』




ああ…太一…




太一のいない世界が…

どんどん…涙で…

歪んでいく…






歪んで…



崩れる





「…もう、パニックだったよ…


救急車の中…


おばさんの泣き声が……



耳から…離れねんだよ」







救急車のサイレン…、

花火の音…、

おばさんの泣き声…

救急隊の焦る声…

無線の声…





剣は耳を塞ぐ!!!




『剣…辛い…役目を…』



「親友だと…




親友だって…思ってたのは?俺だけだったのか?」





違う…太一だって…



剣を…親友だって…







「俺は…太一の…なんだったんだよ…」






私はギュッと…剣を抱きしめた…




違う、違う…太一は…





ホントに…剣を…


思っていたよ…







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