優しくしないで
第11章 何もできない…一日
「…仁さんは…
似たような経験した事あるんすか?」
剣が、仁さんに尋ねる…
「………あ…似たような…
経験をね…
俺の場合は…命が助かったけど…
それでも、家族の問題…ってなっちまって…
友達の俺は…………何も…
出来なかった………」
仁さんの瞳が…少し潤んで見えた…
『仁さん…それは…友達?』
「……初恋の…相手…」
初恋の相手…?でも、友達って…
あ…
思いは伝えなかったのか…
「俺の場合は…命は取り留めた…
でも、留美ちゃんと剣君は…太一君は亡くなってしまった…
俺にとっても…未経験の…世界…」