優しくしないで
第7章 残酷な呪文
終わった―――――――
私の人生…終わったと…
入院するベッドの中で…
真っ暗になった未来に…
言葉すらなかった…
毎日のように、誰かが来て見舞をする
みんな…優しい言葉をかけてゆく
優しい言葉で、態度で…
私を慰める…
優しくされれば、されるほど…
“もう…走れない”
と、言われているみたいで…
面会を終え、病室から出ていく後ろ姿を見送った後…
吐き気に襲われ…
ごみ箱に…胃液を吐く…
優しく…しないで!!!
私は、まだ走れる!!!
私は、まだ…風になれる!!!
私は…
泣きながら…
吐き続ける私を…
時間をずらし見舞に来た
太一が見ていた…
「留美…」
『太一……』
胃液で口の周りを汚す私を…太一は抱きしめてくれた!!!