優しくしないで
第7章 残酷な呪文
『やめて…
同情とか…
優しくしないで…
優しくしないで…
太一にまで優しくされたら…
私は…壊れてしまう…』
「……優しく…しない…
俺は…
俺だけは…
優しくしない
留美が、そう望むなら…
俺は…」
抱きしめる力が…
痛かった…
痛み止めが切れかかったアキレス腱の
痛みも…解らないほど…
太一に抱きしめられる…
太一…
私は…太一に…
陸上への未練、
太一への恋愛感情…
静ちゃんへの罪悪感…
全てを背をわせた
“優しくしないで”
この言葉は…
太一と私を結ぶ…
呪いの鎖となった…