優しくしないで
第7章 残酷な呪文
病院のベッド…
断られる覚悟で…
太一の胸に…頬を寄せて…
馬鹿なお願いをした
『……太一…ゴメン…』
「わかった…
留美に…逃げる場所が必要なら
その場所に…なってやる」
太一の少し低い声…
ゆっくり重なる…唇…
ああ…
幸せ――――――――…
幸せ―――…?
幸…せ…?
太一の唇が…
ゆっくり開き…舌が私の唇をなぞる
ゾゾゾ…
背筋に電気が走る…
私の唇を開かせ…入ってくる太一の舌…
チュク…チュ…
生まれて初めてのディープキス…
ちゅぷ…ぬっちゅ…
キスがこんなに気持ち良くて…
こんなに興奮するものなんて、知らなかった
個室の病室に…微かにクチュクチュと、舌の絡み合う音が響く…
『たっ…いち、んっぷぁ』
「留美…後悔…するなよ」
『うん…
太一だから…後悔しない…』
私は
この質問の意味を…
履き違えたんだ…
後悔………
それしか残らないなんて
知らなかったから……
太一…
太一は…解って…
いたのかな?