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聖夜に天使は舞い降りて~angel only for me~

第1章 非モテボッチと白い羽根

僕はこの日も仕事の終わった帰り道、いつもの通りをいつもの街を、いつもと変わらず自宅に向かって歩いていた。


世間はクリスマス真っ只中。


クリスマス……。


嗚呼、なんて嫌な響きなんだろう。


すれ違う幸せそうなカップル(リア充)たちを尻目にそう思った。


クリスマス……。


それは僕のような非モテ、万年ボッチには何とも迷惑な日。


かつて救世主と呼ばれた大昔の人の誕生日だか何だか知らないけれど、2000年先の後世の人間にまで迷惑かけないで欲しいよ。


まったく……。



こうして大して気が晴れる訳でもなく、すれ違う男女の二人組はおろか2000年も前の聖人にまでいわれのない八つ当たりを繰り返していた。


加えて僕は今日で24年目の人生を向かえる。


ちなみにこの日が来るまで人生で一度たりとも、一秒たりともモテた試しは無い。


いや、モテた試しがないどころか女の子との縁すら感じられないに等しい。


だからこそ、必要以上にリア充(カップル)たちが視界に入ってくるこのイブやクリスマスは、僕にとって一年に一度必ず巡ってくる不運かつ不幸な日というわけだ。


しかもそんな日に限って自分自身の誕生日だとは、つくづく惨めに思えてくる。


やっぱり・・・、憂鬱だ・・・。



彼女でもいれば僕の見る景色は色を取り戻すのだろうが、そんな事は今日(こんにち)まで有り得る筈もなく、相変わらずモノクロの景色の中を独り歩いていた。


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