年下の彼に一目惚れをしました。
第1章 #1
私は"へぇー"と相槌をうち、
もう一度彼を―羽柴 伊織を見る。
私の視線に気付いたのか羽柴くんが
本から顔を上げて私を見る。
見られた瞬間、私の体温急上昇。
瞬時に羽柴くんから視線を外し、
机に広がっているノートに視線を移す。
「一目惚れ?」
千夏は私に耳打ちをして、
クスクスと笑っている。
私は素直に首を縦に頷く。
「っあ!?やばいっ!!
憂里、ごめん。私、バイトに
行かなきゃ」
「ううん。私こそごめんね。
バイト頑張ってね」
「ありがとっ」
千夏は机に広がっていた自分のノートと
筆箱を鞄に入れて走って図書室を
出ていく。
嵐が去ったかのように
図書室はまた静けさを取り戻した。
私は机に広がっているノートを見て、
先程の問題を解き始める。