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ダーリンは12歳年下〜遠恋の果てに〜

第4章 2000年:深まる関係

コンコースを行き交う大勢の人たちを春の日差しが照らしてる。


キャリーバッグを転がしながら改札に向かう人、
腕時計に目をやって足早に歩くサラリーマン、
おみやげを両手に抱えた旅行客、


そんな人ごみをすり抜けて、あたしは中央改札口に向かった。



はあ、緊張する…

ドキドキがとまんないよ…


あたしは居てもたっても居られなくて、ゆうタンの到着の電話がかかってくるまで、ずっと周辺を歩き回っていた。


…と、その時。



♪♪♪~~


ゆうタンからのコールで携帯が震えた。
そしてあたしの手はもっと震えた。


鼓動が激しくなって胸がきゅぅぅん!ってなる。





ゆうたんの着信音はヨハン・パッヘルベルのカノン。


まだ当時の携帯電話は、着うたをダウンロードする機能なんてなかった頃だから、プリセットで入ってる曲を設定するしかできなっかたんです。


その中で、このカノンの音色が気に入ったので、ゆうタンの着信音に設定していた。




『あ…もしもし…』


緊張してうまく話せない。



『もしもし、到着したよ。今、中央改札に向かってる。』

『うん、わかった。あたしも中央改札に向かう。』


電話を繋いだまま、改札へ。



いよいよ、ゆうタンとご対面!
ホントのゆうタンと初対面!


改札から出てきた人ごみの中、ゆうタンをすぐ見つけることが出来た。


写真でしか見てなかったけど、すぐゆうタンだってわかったよ。



ゆうタンは電話口で

『え?しいタンどこどこ?』


そう言いながら、周囲を探してたけど

でもあたしは気が付いてたんだ。


ホントはゆうタンだってあたしをすぐみつけてたのに、なんだか照れちゃって探すふりしてたって事。


今でもカノンを聞くと、あの時の事を思い出して胸がきゅぅぅんって痛くなるよ。

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