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飴と鞭の使い方

第1章 運の尽き

「ありがとうございました」
丁寧に頭を下げられた。案外礼儀正しい青年のようだ。

絡んでいた相手はお世辞にも強いとは言えず集団でさえ弱いと思うほどのチンピラだった。

「いや、気にするな。ところで名前は?」
「辻本瑠架といいます」
「ルカ?女みたいな名前だな」
「よく言われます」
慣れた様子で苦笑いをする。

こいつ以外とカワイイな…よし、お持ち帰り決定だな。

「ケガはして無いか」
あちらこちらの擦りむけている所が目につく。
「はい。大丈夫です」
この程度は無傷ということか。
「一人暮らしか?家まで送ろう」
「そうですけど…すぐそこなので大丈夫です。本当にありがとうございました」

ペコリと頭を下げ立ち去ろうとする瑠架の腕を掴み、自然ともいえる程の華麗な動作で鳩尾に拳を入れる。
「痛っ何を…」


瑠架はそのまま雪那の腕の中へ落ちた。


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