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罪に犯されて[仮]

第1章 すべてのはじまりの日

世界の終わりを警告するかのように、
鳴きたてる蝉の声。


世界の終わりではなく、
夏の始まりを告げているのだが、
明日にでも、世界なんて


終わっていいと思う。


「人生つまんねぇな、、って、顔にかいてあるぞ。あきちゃん」


窓から視線をうつせば、
陽の光も跳ね返しそうな金髪が1番に
目にはいる。


「.....奥井」

眩しいと感じたからではなく、
面倒な奴に見つかったと、目を細める。


「あっ、なんだぁ。その顔!」
「その呼び方やめろ」
「あきちゃん?」


奥井が意地の悪そうににやけると、
下唇にあけられたピアスがゆれる。

「大体、秋がないから春夏冬で"アキナシ"なんて、普通よまないって。だから、足りないとこ足してあげてるの」
「だからって、女みたいな呼び方すんな」
「いいじゃん。可愛いし、あきちゃんにぴったりよ」


きしし、と独特な笑い方で、
またピアスを揺らす。


「奥井、お前。またピアス増やしたのか?」
「お。よく気づいたね。さくらちゃんだって気づかなかったのに」
「さくら?」
「そ、彼女」
「お前、かなこはどうしたんだよ」
「ああ!かなこちゃんも彼女だったぁ」
「...節操なし」
「うわ、否定しないわ!」


奥井 直(おくい なお)は、
きっしっしっと、
心底おもしろそうに笑いながら、
肩まで伸びた金糸の髪を後ろにまとめる。
右耳には8、左耳は9個、
ピアスが確認できた。


「あっ、つか、あきちゃん!俺との約束わすれたわけ?」
「.....美術室をラブホ変わりに使うような奴との約束なんて知らないな」
「へっ?あ、なに、きたなら声かけてよー。それとも、仲間にはいればよかったのに?」
「あほ」

はあ、とため息をつく。
無邪気な明るさと、綺麗と格好いいの中間を
いくような容姿とが、合わされば、
靡く女性は数しれない。
自分には、良さもなにもわからないが。

「あ、いま失礼なこと考えたっしょ?」
「....べつに」
「まぁいいや。じゃ、そろそろ仕事してくれる?」

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