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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

 しかし、王は首を振った。
「私は恐らく、もう長くはなかろう。こうして旅立つ前に意識を取り戻せたのは、せめてもの神のご加護であろうよ。ゆえに、今は黙って私の話を聞いてくれぬか」
 そうまで言われては、もう何も言えない。藍那は口をつぐみ、王の次の言葉を待った。
 この男(ひと)は既に哀しい覚悟をしている。元々、淋しげな瞳に今、はっきりと浮かぶのは諦観の色であった。

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