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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

「私はいやです。首里天加那志から、そのような哀しいお話はお聞きしたくありません。首里天加那志、あれをご覧下さいませ」
 藍那は開け放した障子戸の向こうを指し示した。
 この時代に来てひと月と少しが経った。初めてこの時代に飛ばされてきたその日、女官長と自室から見た光景が今更ながらに思い出される。
 黄金色の光に包まれていたガジュマルの樹は神々しいほどだった。今も、二人の前には夕陽を浴びて立つガジュマルの樹が見える。

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