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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

 病床に伏す国王の寝所の前である。流石に迂闊には話せないこととて、皆、声を潜めての会話ではあれども、近くにいる藍那には、はっきりと聞き取れた。
 やはり、この時代、流れ星は不吉なものとされていたんだわ。
 ぼんやりと考えていた藍那の耳に侍医の鬼気迫る声が飛び込んできた。
「首里天加那志、どうかお気を確かに」
 その声はただ事とは思えない。藍那は小走りに走った。突然の王妃の登場に、重臣たちは皆、頭を下げる。

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