ボ イ ス
第3章 *勧誘メール
「どんだけ人いるのよ…」
人混みが嫌いな早苗はため息混じりに呟いた。
「宮村っ!」
後ろから名前を呼ばれたので、私は反射的に振り向いた。
「やっぱり宮村だ。良かった、ちょうど教室行こうと思ってたんだ。」
「並木…」
彼は並木達也(ナミキ タツヤ)。
去年同じクラスで隣の席になったこともあり、仲良くなったのだ。
「あのさ、古典の教科書持ってる?」
そう、クラスが離れた今は、教科書を貸し借りする友達。
「あーごめん、今日古典ないから持ってきてないや。」
私は両手を重ねてごめんねのポーズをした。
「まじかぁ!いや、ありがと!じゃぁ他のやつに…」
「あ、あたし持ってるよ?」
隣にいた早苗が右手を挙げながら並木に言った。