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ロイヤル&スレイヴ!

第4章 3.ウワサのあのコとあの4人


「やったね、今から僕が未結を独り占め~」


ぴょこんぴょこん、とうさ耳パーカーが軽快に跳ねる。


時折、鼻歌に合わせて揺れる腕と共に、背負ったリュックもカチャカチャと音を立てた。

カラフルなドット模様のリュックには、デコレーションされた缶バッチや可愛いストラップ達がいくつも飾られている。

賑やかな音達の正体だった。

ご機嫌なリズムを口ずさむ楓くんは、私の手をずっと握ってくれている。

「時間帯でこのあたりの雰囲気はずいぶん変わるんだね」

あたりを見渡せば、私と楓くん以外の土鈴学園生はいない。

それもそのはずで、私は今、楓くんと二人で帰り道を歩いていた。


街路樹が立ち並ぶ駅までの道は、私にとっておなじみの帰り道。

とはいえ、太陽が傾きをみせる下校時刻にはまだずっと早い。
朝は生徒達で賑わうこの通りも、今は私たち以外ほとんど人影は、なかった。



生徒会室で受けた説明は、とてもとても壮大で。

あれから私はまともに言葉を口に出すことが出来ないほど、酷くうろたえてしまっていた。

思考回路がまともに働かないこんな状態では、何も決められない。


決めちゃいけない。

私は考える時間が欲しいと、申し出ることにした。

即決できない自分の決断力と判断力のなさが心苦しかったけれど、四人は快諾してくれた。

滝くんが言ってくれた通り、無理強いはない。

私の意思を尊重してくれているのが、ありがたかった。

そして、今日は色んなことがあって疲れているだろうから、と恭介くんがあの場を締めくくってくれたことで、一同解散の流れになった。


だから、本来なら私は残りの午後の授業を受けているはず、なんだけど。

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