
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
「ねー!未結ー、どっか寄り道して帰る?」
「あ、あのね楓くん…!一応早退してる身だから、寄り道はちょっと…」
「えぇー!僕、美味しいトコロも可愛いお店もなんでも知ってるのに!これから未結と遊び歩く気満々だったのにー!」
大きな目をさらに大きく見開いた楓くんは、その宝石のごとくキラキラな瞳いっぱいに涙をためてはこちらを見つめてきた。
キラキラと効果音が聞こえてきそうだ。
う、心が揺らぐ。
また顔色が悪くなってる、と最初に気付いた猛くんが、私に早退を言い渡したのがきっかけだった。
たぶん顔色が悪いのは、いっぺんに色んな事を頭に詰め込みすぎただけで。
身体的より精神的な影響だと思うから大丈夫。と元気ですアピールを試みたものの。
無理は禁物だ、と猛くんに続いたのが、滝くん。
もう全然元気、どこも異常なし。というのを再三訴えたのだけれど早退しなさいの一点張りで。
『なんなら俺が未結ちゃんが無事に帰れるように送ってくからさ』
『暁くんの場合送り狼にしかならないので却下』
『楓さぁ、俺のこと性欲おばけって思ってない?』
『違うの?というわけで未結と帰るのは僕でーす!』
いえい、とVサインを作る楓くんの手には、いつの間にか私のスクールバックが握られていてびっくりしたっけな。
『何がというわけでだ!ふざけんな!』と
恭介くん以外が揃ってツッコミを入れるさすがのチームワークの良さに感心しつつ、
私は皆の厚意に甘えることにした。
授業が一回分抜けてしまうのは確かに痛かったけど、
今日の出来事や、クイーン候補の事について。
ちゃんと落ち着いて考えたいというのも本音だったので、
こうして早退しているのでした。
